エクスペリエンスデザインディレクターとして活動している左右田智美です。
2019年10月18日に行われたMicrosoft Biz Flags!「Azureにつなげてみようワークショップ!」をHEART CATCH西村真里子と一緒に努めさせていただき、ビジネスリーダー向けテクノロジー活用ワークショップデザインの工夫を紹介します。(2019年10月 flags!掲載記事を転載)
ワークショップの目的は新規ビジネス、新しいプロジェクトを起こさなければならないビジネスリーダー(もしくはビジネスリーダー候補)にクラウド、AIでできることを解像度高く理解いただき自社課題に結びつけるエクササイズを行うことです。今回のワークショップは資生堂、そして静岡銀行、TSUTAYA、ソニーの4社が参加下さいました。いずれも、新規事業開発部門や、国際事業戦略部門、ビッグデータ系の開発の部門の方など様々なバックグラウンドの方にお越し頂き、新たなビジネス創造エクササイズを目的とします。1チーム3-4人、4チームで、イントロを含めての5時間のワークショップです。
よくありがちな、儀式的に考えた気になって終わるタイプのビジネスワークショップではなく、ちゃんと解像度を上げて面白いアイデアにAIを組み込むところまで想像してもらいたい、そして参加者の方がクリエイティブに楽しんでもらうような場デザインし、提供したいというのが私と西村さんの今回の目標としてありました。
何について考える場なのか、無理なく楽しく参加者の方が時間内に終わらせられるように情報を整理した上でツール類、体験設計もしっかりと今回のためにデザインをした上で実施したワークショップでした。こちらが↓当ワークショップ向けにデザインしたワークショップアセットです。

今回キーになるこのテクノロジーカードの説明。今回はマイクロソフトのテクノロジーを活用するのを目的としているので、MicrosoftのAzureのAI機能の中で主要になるような項目をセレクトし、それらの項目をカードにしました。例えば顔認識やボットの機能など。

最初のエクササイズとして、このテクノロジーカードと、使い方のヒントになる項目、例えばマーケティングツール、広告向けなどの、使用項目へ結びつけて考えてもらえるよう、簡単にAIのテクノロジーカードを分類してもらう事からはじめました。
そして、このワークショップの中で度々登場する事になる、データとアセットのカードです。AIで活用できそうなデータを取るためのハードウェア装置が会社の所有物の中にあるか。それを想像してもらうべく作りました。



続いて、会社のビジョンシートや、自社の環境のアセットシート等を使って、今自社にある状況や会社の目指しているビジョンを一度、簡単に整理をしてもらいました。
このエクササイズは、AIを実際の現場のどのシーンでどういう会社の理念や目的の中使うのかその部分を改めて把握し、機会を探す事が目的です。例えば、会社の中や、オフィス、ショールーム等。おそらく、自分たちが普段接していない領域にも、改めて何かデジタルの力で役に立てる機会があるのではないか?そしてイデアの最終目的を決める時に重要になるビジョンを、このシートを使って改めて考えてもらいます。

次に、機会領域を掘り下げてもらった中で一番興味のある項目を抽出して、そこから具体的なアイデアを展開してもらいます。自分たちの会社の中にある機会や特徴、例えばエンタメビジネスや地域密着のネットワークなど。そことテクノロジーのカードでマッチングできそうな項目をつなげて、様々なアイデアを個々のチームごとに考えてもらいました。
自社のイチオシ技術なども考えてもらい、そこから抽出したものも自分たちのウリとして書いてもらっています。

最終アイデア:ふわっとしたアイディアから現実的なアイディアへと固めていく
前のセッションで考えてもらったアイデアから一番ピンとくる項目をチームごとに選んでもらい、そこから最後に一つの紙にまとめたもらいました。全部の項目がわかりやすく繋がるように、種類別に項目を埋めてもらいます。こうする事で、ふわっとしていたアイデアを、短時間の中でより現実的に考えてもらえるよう整理をしてもらう事が目的です。
そして、今回思いつきで初めて導入してみたのがこのステッカーです。

絵を書くのが苦手な人でも考えやすいように、そして重要になる項目、例えばデータのソースやハードウェア等、AIを導入する上で重要な項目を改めて考えてもらえるよう作りました。最終アイデアシートで、実際に各チームの方々が積極的に使って頂けていたので作った側としても嬉しかったです。

チームごとに出来上がったアイデアを、プレゼンテーションに向けてまとめてもらいます。
面白くアイデアを伝えてもらいたかったので演劇的な演出等の要素を加えながら、ファシリテーターがアドバイスをしていきます。

実験的に、このテクスチャカードというものを作って持っていきましたが、案外皆さんに作ってもらえたようで嬉しかったです。例えば、アイデアが枯渇した際に、ちょっとひねりを加えたいときに、このカードにある「笑える」「驚き」等のテクスチャを加えてもらいます。
ファシリテータの私も西村さんも楽しいものが大好きなので、少しでも楽しんでもらうためのエンタメ的工夫をちょこちょこ体験デザインのフローに差し込んでいきました。

最終発表:4社が自社ビジネスとテクノロジーを結びつけた結果
静岡銀行「家を銀行で選ぶ時代へ」
静岡銀行チームが考えたのが住宅購入のための支援ツールです。
静岡銀行さんの持っている資金支援ノウハウと地元工務店のデータを活用し、お金の事を心配せずに気軽にお客さんが自分の好きな住宅を購入できる事を支援するデジタルサービスアイデアです。
地域の方と長年に渡り関係を築いてきた静岡銀行さんだからこそのアイデアが面白く、ロールプレイのシナリオも考えて頂いてからの発表だったので説得力がありました。
後に他のチームの参加の方々からヒアリングをした際も、静岡銀行さんのアイデアが一番興味深かったと、人気のアイデアでした。

資生堂チーム「S/PARK ビューティーガイドアプリ」
S/PARKの空間内でより先進的なAI技術を使って、来場者の方々を楽しんでもらえるサービスのアイデア。 ゲストの笑顔や心理状態を感知して、商品やスムージー、エクササイズを提案したり、自分に似た笑顔の有名人を教えてくれたりしてくれるというエンタメ系のデジタルサービス。
笑顔になれるようなアイデアの展開が、化粧品メーカーの資生堂さんらしいなと思い、楽しいプレゼンテーションでした。プレゼン中でネルソン・マンデラのような笑顔!という表現が心に残り、キーワードの選び方も秀逸でした。

TSUTAYAチーム「台風など自然災害対応店舗」
全国にあるTSUTAYAの店舗に来られているお客様へ、適切な情報を届けられるように考えたデジタルサービスです。その土地にあるTSUTAYAをLIVE中継のサテライトとして、地域の実際の情報を集め、その地域の台風の最新情報をお伝えしたり、アプリから台風の最新情報を送ったり、精神的に辛い状況にある避難所にいる方々へTSUTAYAからDVDを無料レンタルを提供したりするデジタルサービス。
全国に店舗のあるTSUTAYAさんならではのサービスアイデアであり、自然災害に悩む日本としては実現してもらえたら幸せになる人が多いな、と感じました。

ソニー「ALL AIによるオリジナル映画でアカデミー賞を受賞!」
今まで世に出てきた映画を分析して、面白い、興行収入の大きかった映画のシーンをAIが分析して、動画をAIが制作。興行収入の変動により、赤字になる事もあるリスクの高い業界に新風を巻き起こすべく作られたアイデア。
史上初のAI監督、OZ監督が受賞するという寸劇も楽しいプレゼンテーションでした。

まとめ:楽しくテクノロジーを自社ビジネスに結びつけるワークショップ
参加して頂いた企業さんも、様々な業種の方々だったので、アイデアに幅が出て、どのチームも会社の個性を活かした面白いアイデアを出していて、楽しく終われた半日のワークショップでした。
参加者の方々にも、普段具体レベルまで想像しにくいAIの機能をちゃんと考えられる機会ができた、ちゃんとこのためにデザインされているツールを使うとテンションが上がる、効果的なワークショップUX設計の仕方の良い参考例になった等嬉しいコメントを頂きました。
今回のワークショップはHEART CATCHチームやMicrosoftと、時間をかけて一緒にデザインをしたワークショップ。一流企業のR&D部門の参加者が多く、日常的にワークショップに参加されている層が多い中でのこういったコメントは私にとって励みになります。
私はケースや目的ごとにそれぞれちゃんと考え、なおかつ参加者も楽しめるワークショップをデザインする事が好きなのですが、今回もまた違った形のワークショップデザインを考える良い機会となりました。
場所を提供して頂いた資生堂さんをはじめ、参加企業の方々もご参加ありがとうございました!

そして、おまけですが、私と西村さんは、このワークショップの為に、私物のレバノンの太鼓とリコーダーを用意してファシリテーションに参戦しました。
太鼓と笛を吹くタイミングについて計画をしていたのですが、ドラムを中盤全般に、リコーダーをフィナーレで鳴らそうという設計に落ち着きました。
こういった遊び心を、本気なビジネスの現場に入れ込んでいける楽しい現場でした。

2019年10月 flags!掲載記事を転載